異種キャラクターバトル
† 仁



今の時代はすばらしいと思う。

なぜだと?

そうか知らないのか。教えてやる。

今の時代はなんと、ヴァンホーテンのココアが自販機で買えるのだ。

文明の発展、その利器を、硬貨三枚で堪能する。

すばらしいじゃないか……と、思いはしたのだが、

「――ぐっ……!?」

その日の晩、俺はすばらしくない激痛に見舞われた。

頭に、直接錐で穴を穿たれんとするような、瞠目してしまうほどの、まさしく『激しい痛み』。

「あああ……が……あっ!!」

痛みに身悶えし、根城にしている安アパートの壁をぶったたく。無意味な行為に、壁が軋んだ。

なんだこの痛みは……とは思わなかった。

原因は、恐らく今日飲んだココア――の空き缶を拾った、どこぞの魔導師だ……!!

「く、の……ボケ世界めが……!!」

怨嗟を吐き散らしながら、俺は閉まっているふすまに手をかけた。

「――『ドア』だ!!」

紙張りのそれが、言霊の瞬間、燃え上がる。

炎の中から現れるのは、焼け落ちたふすまではなく、硬質な扉。

俺はその扉のノブを回し――中へ逃げ込んだ。
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