異種キャラクターバトル
† 紅 憐



ぐれんと呼んでといったのに、しょっぱなから『ぐれちゃん』という愛称を呼んでくるこの子は、なんて手強い子だろう。一筋縄じゃいかない。ここは私も愛称を……むっちー? むらっちー? ……むらむら? ダメ、最後のはダメ。絶対。

だけど、ここで引くものですか。うーむ、第一戦は私の負けにしておいてあげるわ。けどこのままでは終わらない。そう、第一敗目はあくまで内心での話。ノーカンよノーカン。なにせ、不肖、性別不詳紅 憐は、見かけはいかに乙女に見えようとも、今日は戦場へ赴くお侍のような気持ちで参った次第。

臆して勝ちを得られんや。

「ところで、こちらに村地さんという店員さんがいると聞いたんですがね」

「はい、あっしのことですが、なにか」

はいはい、それはもう、訊ねておいてなんですが、よーく存じております。そちらが私の話を聞いているように、私もアナタの話は大変よく読んでおりますので。そりゃあもう、レビューに書いたほど。

「やや、アナタが村地さんでしたが、これは失礼」

「いえいえ、滅相もごぜーません。わざとらしい会釈、恐悦至極でして」

「……」

「……」

「アナタに勝負を挑みにきたわ」

「受けて立ちましょう! シフトが終わる五時間後に、正々堂々階下の喫茶店で!」

なにそれ!?

「ちょちょちょ、遅い長い場所が違う!? なんで私がそこまで待たなきゃいけないのよ! 今回私がここに来た趣旨、わかってる!?」

「ふーむ、わがままな方ですね」

あごに手をやる村地氏。

私はこめかみに指をやった。ぐにぐに揉む。

「ふっ、私の上をいくわがままなんて、さすがね、むっちー」

「むっちー……うーん、ぐれちゃん、ニックネームならもっとはっきりつけましょう」

「うん? たとえば?」

「そうですね。むらむらとか」

「勇者だ―――――ッッ!!」

「やーやーわれこそはイダッ!?」

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