恋愛の神様
そんな事を思う自分に乾いた笑みが漏れる。


恋人にほっとかれた悲しさを紛らわすために、自分の都合で呼びつけた男を相手に私が一体何を言う権利があるのだろう。


安心しきったように身体を預けてくるレオの頭を柔らかく抱く。


カワイイ子。

私、アナタを好きになれたら、幸せになれたかしら。


―――応えは、否。





曰くの異母兄弟。

二人の間に何があるのか詳しくは聞いていないけれど、レオが虎徹くんを敵対視しているのは知っている。

そしてこの先、レオが虎徹くんを追い落とそうと思っている事も。

レオも虎徹くん並みに仕事にはのめり込む方だ。

だけど虎徹くんが以前言っていた。

『アイツは俺より柔軟だ』と。

不器用に一つの事にしか向かえない自分と違って、レオは幾つものことを並行してやりこなす事の出来る器用さがある、と。
自分などより伊熊に似てバイタリティーのある男だと。

少し誇らしげにそう言ったカレを見て、レオが虎徹くんを敵対視するほどにはカレはレオの事を憎く思ってないんじゃないからしら、と思ったけれど……。

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