恋愛の神様


「田舎にはその手の施設がなくてコチラに来たからには人生で一度くらい行ってみたいと思ってんですが…」


がっかりしたように肩を落とした野山が本当のガキみたいで思わず口元を緩める。


「ま、そーいうことなら行ってみっか。」

「え!いいんですか!?」

「ああ。」


……まぁ、オマエがうっかり下限に引っ掛からなきゃ、だがな。




俺の危惧を余所に野山は入り口で尋問を受けることもなく、クラブに足を踏み込んだ。

あー、久しぶりだなぁ。

ガキの頃はツレとよく来て遊んでたけど、この辺りは年齢層が低く、とっくに卒業した。

とはいえ大人がまるでいないわけでもなく、浮くようなこともない。


アップテンポの音楽が埋め尽くす建物内。

その音量と人のハイテンションに野山は目を見開ききょろきょろとしている。

そんな仕草はまさに小鳥っぽくて思わず笑ってしまう。

フロアを薦めてみたが辞退され、暫く、手摺りに凭れて狂喜乱舞の人の群れを眺めていた。



俺のポケットで携帯が鳴ったのはそんな時のコト。

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