恋愛の神様


「ま、なにはともあれ、褒めてやる。合格点だ。えらいえらい。」


大きなクマの掌がワシャワシャと頭を撫でます。

その隙間から覗くと、クマさん全開の笑顔です。

まるで春の陽気に唆されるようにワタクシも釣られて笑顔になっていました。



掛け値ない褒め言葉―――正直に嬉しいです。

それが他ではないこの部長のものであれば、得意になる価値はあると思います。




しかしクマさん、ワタクシの体格とご自分の腕力を考えて下さい。

数分後、頭を揺すられ続けたワタクシは眩暈を起こしてよろめきました。










それは、体力回復の為食堂でランチをガッツリ食べた後、鼻歌混じりにデスクに戻る途中でした。


「なーにが恋愛の神様よ。」

「あーもー。私なんか、奮発して高級鳥の餌お供えしたのにぃー。」


自販機脇の小さな休憩所でどこそこの課のお嬢さんたちがブーブーとかましく鳴いておりました。

幾ら高級でも鳥の餌なんか貰っても仕方ないですがね……

ワタクシは呆れつつ、面倒だったので素知らぬ顔で通り過ぎようとしました。
しかし運の悪い事にその内の一人に見つかってしまい足止めを余儀なくされました。


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