恋愛の神様

何事にも一途なカレ。
仕事にもすぐにのめり込んだ。
まるで取り憑かれたみたいに。

その真剣さが私の胸をときめかせる。
同時に、苛む。

脇目も振らずに前進するカレ、そして取り残されていく私。


ねぇ、私を置いていかないで。
私を忘れないで。
荷物になるなら連れて行かなくてもイイ。
だけど
時々でいいから思い出して振り向いて―――。



レオに求められた時、私は突っぱね切れなかった。

強引に引き寄せる腕がカレのものと重なって。
人肌寂しい時に隣にいないカレの代わりに抱きしめてくれる温もりが、かつて私を浚ったカレのもののようで。

私はそれが酷い裏切りだと知っていながら、自分の寂しさを紛らわすためにその手を取った。

こんなにカレの事が好きなのに。

好きだからこそ―――無条件で差し出される温もりに飛び付かずにはいられなかった。

その温かさが、私が独りぼっちだって気付かせてしまったから。
手を離したら寂しくて堪らないと唆すから――――。






内腿をするりと堕ちてくる指の感触にはっと我に返る。


「虎徹く――――」


顔を上げるのと同時に塞がれた唇。
最奥に辿り着いた指が丹念に襞を辿ってゆく。
体の奥がきゅんと唸って、甘い蜜がジンワリと染み出てくる。

この男は簡単に私を溶かす。


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