Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
怜士はにやっと笑った。
「なんせ、黙って悩んでいるなんて、麗華の性質にまるっきり合わない」
「ほんと、失礼だよね。
アンニュイに悩む大人の女の魅力がわからないかね」
「それは知っているけど、程遠いから」
「うわ、言ったよ」
「どうせ一人で抱えていても、麗華は解決できないんだから」
「つくづくバカにしてるよね」
「いや、見抜いているだけ。
で?
あ、ストップ」
促しておきながら、ブザーの音に怜士は立ち上がって去っていった。
なんだか今の会話の色々なことに驚いた。
名前を連呼されることとか、踏み込んでくるところとか。
あの時からの歳月と二人の年令を考えると、距離感が遠くなっているはずなのに、高等部の時のような、下手すると
もっと近いような感じがする。
今晩ここに来るまでは、しばらく気まずいかな、と心配だったのだが、最初から今まで離れていた時間がなかったよ
うに、会話が続く。