Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
麗華はバラの塊をダイニングテーブルの空いている所に置くと、深くその芳香を吸い込む。柔らかいピンクを限りなく濃くしたような赤。
こういう赤いバラなら好きだ。
「小学生の時期って、地面から出たばっかりの柔らかい芽みたいじゃない。
その頃って、外からの力で、曲がってしまうかもしれないし、折られてしまうかもしれない。
だからまっすぐ育つようにサポートしたくって、小学校の先生になりたかったんだ。
でも今、勤めている私立はそういうサポートがいくつもあって。
だからもっと、必要としている場に行きたい。
やっぱ、教員採用試験の再チャレンジかなあ、思ったりするけど・・」
怜士はナイフとフォークを置くと、椅子の背によりかかり、足を組んだ。
「ああ、そうだったの。
根っこがそれなら、先生という形をとらなくってもいいでしょ。
サポート形態はいくらでもある」
麗華は怜士の顔をみつめて、言っている意味を必死に咀嚼する。
「ああ、そっか」
すとんと心に落ちた。