Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
「食べ物をとってくるけれど、今泉は何がいい?」
「今泉じゃないけど、まかせる」
「ラジャ」
人ごみを縫うように、食べ物へ滑らかに歩き出していく後姿を見送る。
まさかイヴリンにこんなところで会うとは思わなかった。
怜士は別方向へ去っていった金髪へちらりと視線を投げる。
思い出せば、国際人権問題の機関に勤めている弁護士だった。
関係は、長い。
彼女も多忙だから、会う頻度が少ないからかもしれない。
怜士に何人も女がいると当然のように知っており、麗華との関係を見抜いたが顔色一つ変えなかった。
利口だから、ダバリード夫人となったら却って、自分の目指す仕事が自由にできなくなるのがわかっているのだろ
う。
時々、体の関係があって、権力者の自分と懇意であればそれでいいのだ。
イヴリンは去り際に、“電話して”とささやいていった。