Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
「ニコラス。
麗華の相手を頼んだ」
怜士は上着を羽織ると、無表情のまま出て行った。
最後に声もかけてくれないし、見もしなかった。
遠ざかっていく背を見送っていた麗華と、黒スーツの女性と目が合う。
なぜか勝ち誇ったような目。
意味わかりません。
部屋が静かになると、麗華は鱧の八寸に再び箸をつけた。
仕事であなたについて行ったんでしょ。
私とこの人のどっちをとるの、の争いじゃないじゃん。
「えっと」
その声に自分独りじゃないのを思い出して、顔をあげた。