Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪


怜士はそのまま椅子に座ると、いただきますと言って、黙々と食べだす。


仕事のことや、今度開かれるパーティーのこととか話題を振るが、短い返答しか帰ってこない。


麗華は諦めて、自分も食べるのに専念した。


やがて、怜士が箸を置くと、麗華は静かに問いかけた。


「今泉の両親に会って、真実を言わなくていいの?」


怜士はしばし麗華の目をみつめていた。


まばたきをして、ゆるく笑う。


「あの男が手元で育てなかったのは、二つ理由がある。

いつも狙われているという生活を送らないように。
悪人たちに吹き込まれ、利用されないように。

鞠絵の育った環境がそうだったから、あの男の考えに同意したんだろう。
ごく普通の家庭で、愛されて育って欲しいっていう。
たとえ育てる人間を騙してでも、自分たちの子どもさえ、幸せに成長すればよかったんだ。

だから、あの人たちはこのままの方がいい。
いまさら、自分たちの子どもは死産で、ずっと他人の子を育てていたっていう事実を知ったらどうだ?
それに下手に知らせたら、ハゲタカが嗅ぎつけて、ひどい目にあうだろう。
今の生活を守ってあげるのが恩返しだ」
< 377 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop