Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
怜士はそのまま椅子に座ると、いただきますと言って、黙々と食べだす。
仕事のことや、今度開かれるパーティーのこととか話題を振るが、短い返答しか帰ってこない。
麗華は諦めて、自分も食べるのに専念した。
やがて、怜士が箸を置くと、麗華は静かに問いかけた。
「今泉の両親に会って、真実を言わなくていいの?」
怜士はしばし麗華の目をみつめていた。
まばたきをして、ゆるく笑う。
「あの男が手元で育てなかったのは、二つ理由がある。
いつも狙われているという生活を送らないように。
悪人たちに吹き込まれ、利用されないように。
鞠絵の育った環境がそうだったから、あの男の考えに同意したんだろう。
ごく普通の家庭で、愛されて育って欲しいっていう。
たとえ育てる人間を騙してでも、自分たちの子どもさえ、幸せに成長すればよかったんだ。
だから、あの人たちはこのままの方がいい。
いまさら、自分たちの子どもは死産で、ずっと他人の子を育てていたっていう事実を知ったらどうだ?
それに下手に知らせたら、ハゲタカが嗅ぎつけて、ひどい目にあうだろう。
今の生活を守ってあげるのが恩返しだ」