Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
財布も別にどうでもよかったのに、財布さえ戻ってくれば良かった理由。
ケビンが出ていくと、内貼りが二重になっている一部分をめくった。
中に入れっぱなしとはいえ、摩擦でだいぶ色落ちをしてしまったプリクラ。
口元が皮肉っぽく緩む。
悪乗りしている高校生の二人。
あの頃は、絶対に取り返しに行くと決めていた。
だが年を重ねるごとに、迷いが生じ、及び腰になった。
大学のキャンパスで、彼女と男の姿がよみがえる。
彼女の中には、とっくに違う男が占めているかもしれない。
取り返す自信が無いのか?
いや、そうではない。
そうではなくて。
思い出は美しい。
怜士は口元を歪めた。