Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪


財布も別にどうでもよかったのに、財布さえ戻ってくれば良かった理由。


ケビンが出ていくと、内貼りが二重になっている一部分をめくった。


中に入れっぱなしとはいえ、摩擦でだいぶ色落ちをしてしまったプリクラ。


口元が皮肉っぽく緩む。


悪乗りしている高校生の二人。


あの頃は、絶対に取り返しに行くと決めていた。


だが年を重ねるごとに、迷いが生じ、及び腰になった。


大学のキャンパスで、彼女と男の姿がよみがえる。


彼女の中には、とっくに違う男が占めているかもしれない。


取り返す自信が無いのか?


いや、そうではない。


そうではなくて。


思い出は美しい。


怜士は口元を歪めた。
< 46 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop