君と奏でるノクターン
郁子は店内をぐるりと見回す。


「周桜くん自身は先頭切って事を起こすタイプではないのに、何故いつも周桜くん中心で周りが動いてるのかしら」


「そうそう、クリスマスの飾り付けを準備していたら、色々な学生が今日のために協力を申し出てくれたんだよ」


「へぇ~、俺はマスターが調達したり作ったりしたんだとばかり思ってた」


「店の飾り付けは、君たちにお願いしたけれど、ポスター貼りもチラシ配りも、みんな常連の学生がやってくれてね」


「どうりで、マスターにしては手際がいいと思ったぜ」


「実は食材代だって学長のポケットマネーと、学生や住宅街、商店街からのご厚意や寄付だよ」


「マジか」


「えっ!? やだ、もうウィーンと繋がって―――この曲!?」

カウンターの横、窓に設置されたホリゾント幕の大画面を観て、郁子の顔色が変わる。


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