君と奏でるノクターン
カフェ・モルダウの扉に取りつけられた風鈴が忙しく鳴る。

郁子が慌ただしく駆けこみ入って来るなり、目を丸くする。

「いつの間に、派手にクリスマス仕様になっちゃってるの? いつもより人が多くない?」

普段は大学や附属高校の学生で賑わっているカフェ·モルダウだ。


「表の看板や途中の案内板やポスターも、いつの間に準備したの?」


「ここの飾りつけは周桜くんに頼まれてね」

マスターが郁子の百面相を観ながらニヤニヤしている。


「ポスターは、マスターがパソコンで、表の看板は俺と理久、それに美術部同好会の面子が協力した力作」


「なかなかの出来だろ」


「ちなみに大画面は、パソコン同好会と映画研究会、放送部の協力で設置したんだ」


「信じられない、こんな大掛かりになるなんて……」

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