君と奏でるノクターン
卓上のベルを鳴らすとウェイターが、サッとオーダーを取りに来る。


「本当にお任せでいいのね」


マルグリットは詩月に確認し、シュトルーデル1つと紅茶2つを注文する。


「マルグリット、ずいぶん綺麗な燕さんね」


マルグリットに常連客が話しかける。


「ユリウスのお弟子さんなの。ピアノもヴァイオリンも弾けるのよ」


「まあ~、ステキ」


手を叩たき歓喜しながら、詩月をマジマシと見つめる。


「あら!? あなた、もしかして……ケルントナー通りのヴァイオリン王子?」


ヴァイオリン王子?の所だけ一際、声のトーンが上がる。

周囲が、ざわめき始める。


「何か弾いてもらえないかしら」


詩月はマルグリットをちらと見る。


「今、1番弾きたい曲を弾いてらっしゃい。遠慮せずに思い切り、思いを伝えなさい」
< 57 / 249 >

この作品をシェア

pagetop