君と奏でるノクターン
街頭演奏での孤独感とは正反対の温もりと心地好さは、凍えた心さえも暖めていく気がする。


休み前。
駅前でのミヒャエルとの一悶着。
あれから、ミヒャエルは1度も詩月にメールも電話もよこさない。


――言い過ぎたな


詩月は思い返し、スマホを取り出しメール画面を開く。


暫し文章を考えたが、良い文章は浮かばず、「ゴメン、この間は言い過ぎた」と送信した。

数分後、ミヒャエルからの返信は「大丈夫か?心配していた」という文章。

詩月が想像していた文章とは違っていた。


休み前、詩月はミヒャエルが2才も年上の地方からの学生で、アルバイトの掛け持ちで生活費を捻出している大学の寮生だという噂を聞いた。


詩月には大学の誰も彼もが年上に見える。
いちいち意識して敬語で話さないようにしている。

ミヒャエルは大学に馴染んで、様々な学生の世話をやいている。


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