君と奏でるノクターン
ミヒャエルが、地元の学生ではないことが、詩月には意外に思える。

フランツ教授に師事しているミヒャエル。

フランツ教授のレッスンは、他の教授のレッスンより数倍厳しいと言われている。

詩月に言わせると、師事している下宿先の師匠の方が、数段も厳しいように思える。

同じ教授に師事しているという共通項だけで、親しげにどや顔で話しかけてくるミヒャエル。


詩月はミヒャエルからメールが来ない間、思ったことがある。


――鬱陶しいと感じている奴でも、何もよこさないと気になるんだな


返信の文面を見ながら、詩月は笑みを漏らす。


返信をどうするか考えていると、受信画面に切り替わる。


from:ミヒャエル
本文:指の調子はどうだ?


詩月は話さなきゃ、納得しないんだろうなと思いながら、メールにするのを躊躇う。

< 70 / 249 >

この作品をシェア

pagetop