シンデレラの落とし物
過去とこれからについてじっくり考えるはずの旅に、秋くんが現れて、彼が近くにいることが自然になってきている。

美雪はぎゅっと強く目を閉じて、首を振った。


でも、それは相手が男性だからとかそんな特別なことではなくて……いままで一緒に行動してたから、急にいなくなってしまったことを心配しているだけ。

立ち尽くす美雪の手に、温かい小さな手がするりと入ってきて握りしめた。


「……?」

手をつないだ先に、赤いワンピースを着た黒髪の女の子。小さな手に小さな力が入って、

「おねーたん」

にこっと無邪気に笑う。

んん? この子は?

周りを見渡すも、子供を探しているような人物は見当たらない。美雪はしゃがみ込んで女の子と目の高さを合わせた。

「えーと……パパやママは?」

「いるよぉ」

「ほんとう? どこ?」

立ち上がってもう一度周りを見渡ものの、やはり慌てて子供を探す親らしき姿は見つからない。

……迷子?
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