シンデレラの落とし物
「秋くん……」

胸を込み上げてくるものがあって、名前を呼ぶ声が掠れた。

「やっと見つけた」

美雪の前まできて足を止めると、安堵から秋の顔に笑みが浮かび、両膝に手をついて、肩を上下させながら呼吸を整える。

「探してくれたの……?」

「あたりまえだろ」

信じられない。わたしの為に息を乱すほど走って、一生懸命探してくれた。
喜びで美雪の胸がいっぱいになる。
感動している美雪と呼吸が落ち着いてきた秋の間に、小さな影が割って入った。

「おそいの!」

両手を腰に置いて肩を怒らせて怒る、赤いワンピースを着た小さな巨人。

「え? あれ?」

突然の珍入者と美雪を交互に見ながら、秋は目を白黒させた。

「ひとり増えてる……」

宇宙人? 不思議なものを見たように呆然とつぶやく。

「秋くんのこと、一緒に探してくれたの」

苦笑いを浮かべる美雪。

「しゅーくん、まいご、めっ!!」

小さな巨人が、頬をふくらませてぷんすか怒っている。
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