シンデレラの落とし物
「お、オレが迷子?」

己を指さし、身を引いて想定外の言葉に驚く。

「迷子は美雪のーー」

「おねーたん、ないてたもんっ」

「えっ」

「えっ」

アイの発言に大人ふたりが顔を見合わせる。

「泣いたのか?」

秋の探るような瞳が、泣いた形跡がないか美雪の表情を探る。

「な、泣いてないよ」

慌てて手を目の前に突き出して、首と同時に振る。

「アイちゃん? わたし泣いてないよ」

アイに訂正を求めた。

「でもこまってたもん」

自分はまちがったことをいっていないと、アイはぷっと頬をふくらませる。

「……美雪ちゃん、オレと離れて泣きそうになるほど困ってた?」

真っ直ぐな、心まで見透かされてしまいそうな瞳。その言葉が真実を知りたいと美雪に問いかけていた。

「そっそれは」

返答に困って口をつぐむ。
わたし、小さい子供が見てわかるほど、秋くんとはぐれて取り乱していたの?

「自分でも……その、わからない、というか」

言葉を探しながら正直にいう。
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