シンデレラの落とし物
「パパたちね、おみせしてるのぉ」

そこだよ~と、あどけない笑顔で指さす。それは本当に三件ほどさきのお菓子屋さんで。
秋と美雪が連れていくと、心配した親の姿はなく、甘い砂糖菓子の香りとともに人懐っこい笑顔の母親に 「おかえり」 とあたたかく迎えられた。この展開についていけない二人が唖然としているなか、アイがただいまと母親に抱きついている。状況を察した母親が朗らかに笑う。

「日本からこっちに移ったばかりのころ、愛自身がよく迷子になっていたんです。そのせいなのか、観光客で迷子らしき人を見つけては手助けするようになって」

「そうだったんてすね……」

迷子じゃなくてよかったけれど、わたしの大人としての面目が……。
プライドが傷ついた美雪はひきつった笑いを浮かべることしかできず、それを見た秋はイジの悪い笑みを終始浮かべていた。

「おねーたん、しゅーくん、ばいばい」

「じゃあな」

「バイバイ」

結局お礼だけで帰るわけにもいかず、たくさんのお菓子を買った秋は、メンバーや関係者に配るからと宅配を頼んで、最後は笑顔で愛たちと別れた。
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