シンデレラの落とし物
美雪が複雑な心境を抱え、秋と並んで歩いているとき、とある店先に並ぶライトアップされた腕時計に目が止まった。
可愛い。
美雪の目を惹いたのは時計盤の上部、ガラス(フェイス)部分をぐるりと円を描くように花が囲む可愛いらしいデザインの腕時計。
その色とりどりの花はミルフィオリ(千の花)と呼ばれ、ムラノ島で作られている細工のひとつで、ひとつとして同じものはないという。
「美雪?」
時計に引き寄せられるように足を止めた美雪と、手を繋いでいた秋の足も必然的に止まる。店頭のショーウインドウに張り付くようにして熱心に何かを見ている美雪に、声を掛けた。
「いいのあった?」
至近距離からの深みのある温かい声。横から身を寄せるようにしてのぞき込む秋に、美雪は我に返る。
「あ……」
なにもいわず急に立ち止まったにもかかわらず、嫌な顔ひとつしないで秋は待ってくれている。至近距離で微笑む秋と時計を交互に見た美雪は、つかの間躊躇った。それから後ろ髪引かれるような気持ちを感じながらも、首を振る。
「ううん、大丈夫。行こ」
可愛い。
美雪の目を惹いたのは時計盤の上部、ガラス(フェイス)部分をぐるりと円を描くように花が囲む可愛いらしいデザインの腕時計。
その色とりどりの花はミルフィオリ(千の花)と呼ばれ、ムラノ島で作られている細工のひとつで、ひとつとして同じものはないという。
「美雪?」
時計に引き寄せられるように足を止めた美雪と、手を繋いでいた秋の足も必然的に止まる。店頭のショーウインドウに張り付くようにして熱心に何かを見ている美雪に、声を掛けた。
「いいのあった?」
至近距離からの深みのある温かい声。横から身を寄せるようにしてのぞき込む秋に、美雪は我に返る。
「あ……」
なにもいわず急に立ち止まったにもかかわらず、嫌な顔ひとつしないで秋は待ってくれている。至近距離で微笑む秋と時計を交互に見た美雪は、つかの間躊躇った。それから後ろ髪引かれるような気持ちを感じながらも、首を振る。
「ううん、大丈夫。行こ」