シンデレラの落とし物
自分がそうなるように仕向けたはずなのに、黙りこむ彼を見て胸が痛むのは何故なの?
疲れたように深いため息をつくのを見て、辛くなるのはどうしてなの?
履きやすいようにミュールの向きを変えてくれる紳士的なところも、メンバーにやきもちを妬く、ちょっと子どもっぽいところも、たまに見せる頑固なところも、声が好きといったときに見せた、本当に嬉しそうな笑顔も、温かくしっかりとした大きな手も……愛しいよ。
わたしのなかで止まっていた気持ちが、動き出してしまった。
間違った方向に。
止まらない涙。
込み上げてくる嗚咽を、口に手を押し当てて美雪は堪えた。
一方、同じように寝付くことができず、浅い眠りを繰り返していた秋は、美雪が起き上がったことも気配でわかった。
起き上がった美雪に声をかけようか迷っていると、その小さい華奢な肩が震えていることに気づいた。
美雪が泣いている。
秋は迷いを捨てた。
「美雪……」
気遣うように小さく呼ぶその声に、美雪の肩が強張る。反射的に顔を上げた美雪を、月明かりが照らす薄暗い部屋のなか、静かに秋が見ていた。
疲れたように深いため息をつくのを見て、辛くなるのはどうしてなの?
履きやすいようにミュールの向きを変えてくれる紳士的なところも、メンバーにやきもちを妬く、ちょっと子どもっぽいところも、たまに見せる頑固なところも、声が好きといったときに見せた、本当に嬉しそうな笑顔も、温かくしっかりとした大きな手も……愛しいよ。
わたしのなかで止まっていた気持ちが、動き出してしまった。
間違った方向に。
止まらない涙。
込み上げてくる嗚咽を、口に手を押し当てて美雪は堪えた。
一方、同じように寝付くことができず、浅い眠りを繰り返していた秋は、美雪が起き上がったことも気配でわかった。
起き上がった美雪に声をかけようか迷っていると、その小さい華奢な肩が震えていることに気づいた。
美雪が泣いている。
秋は迷いを捨てた。
「美雪……」
気遣うように小さく呼ぶその声に、美雪の肩が強張る。反射的に顔を上げた美雪を、月明かりが照らす薄暗い部屋のなか、静かに秋が見ていた。