シンデレラの落とし物
逃げようとした美雪は引き戻され、再び肩を掴まれて拘束されてしまう。抵抗した美雪は、引きずられるようにして細い路地へ追い込まれる。ニヤついた3人が、まるで高い壁のように迫ってきた。
わたしは何を期待したの?
まさか、秋くんが助けてくれるとでも?
思い上がるのもいい加減にしなさい。
きちんとお別れもせず、今ごろは逃げた女に腹を立てているはずだ。
ここは自分で切り抜けるしか方法はない。
美雪は3人の様子をうかがい、隙を探した。
「ソノキニナッタ?」
「タノシモー」
「………」
抵抗をやめた美雪に、観念したと思い込んだ男が肩を掴む腕の力を僅かに弱めた。美雪はその機を逃がさなかった。膝の力を抜いてしゃがみこむ。肩を掴む堅く大きな手が外れた。自由になった美雪は男たちを振り返ることなく駆け出す。人波を縫って一目散に走った。
「………っ!」
足元からバランスを崩してよろける。
ミュールじゃ早く走れない!
後ろからはいくつもの足音が追いかけてきた。
焦る美雪の足からミュールが脱げる。履き手を失ったミュールが、目の前を回転しながらスライディングしていった。
わたしは何を期待したの?
まさか、秋くんが助けてくれるとでも?
思い上がるのもいい加減にしなさい。
きちんとお別れもせず、今ごろは逃げた女に腹を立てているはずだ。
ここは自分で切り抜けるしか方法はない。
美雪は3人の様子をうかがい、隙を探した。
「ソノキニナッタ?」
「タノシモー」
「………」
抵抗をやめた美雪に、観念したと思い込んだ男が肩を掴む腕の力を僅かに弱めた。美雪はその機を逃がさなかった。膝の力を抜いてしゃがみこむ。肩を掴む堅く大きな手が外れた。自由になった美雪は男たちを振り返ることなく駆け出す。人波を縫って一目散に走った。
「………っ!」
足元からバランスを崩してよろける。
ミュールじゃ早く走れない!
後ろからはいくつもの足音が追いかけてきた。
焦る美雪の足からミュールが脱げる。履き手を失ったミュールが、目の前を回転しながらスライディングしていった。