シンデレラの落とし物
「オレが探してる間にトラブってんなよ」

「探してくれたの……?」

こんなわたしを?
信じられない思いで秋を見つめる美雪に、再び魔の手が伸びる。男たちが仲間同士で交わす会話、狙った獲物に忍び寄る手。秋はすぐさま行動に移り、男たちの思い通りにはさせなかった。美雪と男たちの間に割って入り、己の体を盾にする。伸びてきた手は素早く手の甲で弾いた。手を叩かれた男は痛そうに顔をしかめる。

「失せろ」

秋は目を細を細め、凄みを利かせて3人の男たちを睨み付ける。その眼力に3人は怯んだ。

「わたし、探してもらう価値なんてないのに」

「『ありがとう、楽しかったです。さようなら』で勝手に終わらせるな!」

消えた美雪。やっと見つけたときには男に絡まれていた。心配と安堵とイライラが相まって感情にブレーキが効かなくなった秋が怒鳴る。

「お別れいうのが辛いから手紙に書いたのよ!」

頭ごなしに怒鳴られ、後ろめたさも手伝って返す言葉も大きくなる。

「自分に都合のいいように逃げるなよ!」

「一緒にいたらいるぶんだけ辛くなるの!」
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