それは薔薇の魔法
「貴女が私の近くで、こうして一緒にいてくれることも、私と同じ気持ちを抱いてくれていることも。
すぐそばで触れられることも……
嬉しすぎてどうにかなってしまいそうだ」
そんな甘い台詞に慣れていないわたしは、顔を赤くしてしまう。
い、今が夜でよかったわ……
それでもシリル様はそんなわたしに気づいたのか、クスリ、と綺麗に笑った。
「ローズ、私は貴女を愛している」
恭しく私の手をとり、そこに唇を落とす。
「改めて、私と共に生きてくれるだろうか?」
真剣に揺れる綺麗な紫の瞳。
優しさに溢れ、輝くこの綺麗な瞳に、わたしは惹かれたのかもしれない。
シリル様と言葉を交わすたび、その心に、貴方の存在が刻まれていった。
もう、わたしはきっと、シリル様しか……
「……はい。わたしも貴方と、生きていきたいです」
そう、きっと、わたしにはシリル様しかいないんです。
自然とお互い笑みを浮かべ。
なめらかに近づく距離に、わたしはそっと目を閉じた。
重なった唇から、幸せな気持ちが溢れて。
わたしの瞳からこぼれた雫は煌めいて、弾けて消えていった。