予想外の恋愛





夕方近くなり段々そわそわしてきた。

私の頭の中には高校生の頃の近藤くんの笑顔が浮かんでいる。

卒業以来会っていない彼の成長した姿を想像してみたり、成長したからこそのスーツ姿を想像してみたり。



軽く別次元にいっていた頭がドアの音で戻ってきた。


「いらっしゃいませ!………」



スーツはスーツでもこのスーツは見たくなかった、と心の中で悪態をつく。



「…おい、なんだその顔は」

「あ、ナギサちゃんこんにちは」

「中島さんこんにちは!土曜日までお仕事お疲れ様です」

「どけお前。入れねえだろ」


二度と入れないようにしてやろうか!とは店長の手前言えない。


「ナギサちゃん、いつもの二つね」

「えっと、アメリカンが一つでお間違いないでしょうか?」

「間違ってんだよ!しばくぞコラ」




店長にオーダーを伝え、どうにかイライラを抑え込む。

「朝田さん来たね。可愛くしてきた甲斐があって良かったね」

「だから違います!今日はこの後用事があって!」

「おー恐い。はいこれ持ってって」



上辺だけの笑顔を貼り付けていつものように奥の二人のところにコーヒーを運ぶ。


< 14 / 218 >

この作品をシェア

pagetop