予想外の恋愛


✳︎✳︎✳︎



「もう押し倒しちゃいなさーい!」

「それで上手くいくと思ってるなら思考回路疑うけど」

「あら、案外いい方向に転ぶかもよ?」



平日の夜、おなじみのマチとの近況報告会にて。

今日はマチのリクエストで、最近出来た中華料理屋に来ている。
家から少し離れたオフィス街に並ぶビルの中にあるここは、土曜日の夜には長蛇の列が出来るほど人気がある。

噂好きのマチは何が何でも来てみたかったらしく、あまり混んでいない平日を指定して約束を取り付けてきた。
それでも店内はかなり賑わっているので、人気のほどが伺えた。



「ね、この小籠包すっごい美味しい」

「もう一人前頼んじゃう?」

「頼む頼む!」



気の知れた女二人の食事会というものは基本遠慮がない。
ここに男性がいれば間違いなく追加注文なんてしないのに、胃袋の空き具合に忠実に従ってしまうのだ。



「でもさ、正直私嬉しいんだ。ナギサが朝田さんを選んだことが」


突然マチがそんなことを言い出した。
別に恋人になったわけじゃない。好きだと気付いただけなのに。


「え…どうして?」

「まあ単純にお似合いだと思うってのもあるんだけど…実はナギサに謝らなきゃいけないことがあってね…」

「ぇえ?なによそれ」

「もっと早く言い出したかったんだけどなんか言いにくくて、かなり先延ばしにして来てたのよねー」


そう言ったマチが箸を置いて、姿勢を正した。




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