予想外の恋愛
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「もう押し倒しちゃいなさーい!」
「それで上手くいくと思ってるなら思考回路疑うけど」
「あら、案外いい方向に転ぶかもよ?」
平日の夜、おなじみのマチとの近況報告会にて。
今日はマチのリクエストで、最近出来た中華料理屋に来ている。
家から少し離れたオフィス街に並ぶビルの中にあるここは、土曜日の夜には長蛇の列が出来るほど人気がある。
噂好きのマチは何が何でも来てみたかったらしく、あまり混んでいない平日を指定して約束を取り付けてきた。
それでも店内はかなり賑わっているので、人気のほどが伺えた。
「ね、この小籠包すっごい美味しい」
「もう一人前頼んじゃう?」
「頼む頼む!」
気の知れた女二人の食事会というものは基本遠慮がない。
ここに男性がいれば間違いなく追加注文なんてしないのに、胃袋の空き具合に忠実に従ってしまうのだ。
「でもさ、正直私嬉しいんだ。ナギサが朝田さんを選んだことが」
突然マチがそんなことを言い出した。
別に恋人になったわけじゃない。好きだと気付いただけなのに。
「え…どうして?」
「まあ単純にお似合いだと思うってのもあるんだけど…実はナギサに謝らなきゃいけないことがあってね…」
「ぇえ?なによそれ」
「もっと早く言い出したかったんだけどなんか言いにくくて、かなり先延ばしにして来てたのよねー」
そう言ったマチが箸を置いて、姿勢を正した。