予想外の恋愛
「カフェの店員さんと随分仲良しなのねー」
そう言った川瀬さんがジロジロと私の顔を見ている。
確かにただのカフェの店員と客というだけの関係にしては親しく見えるかもしれないけれど、それにしても少し居心地が悪い。
「よくお世話になってるからね。ナギサちゃんは朝田とも仲良いし」
「へーえ」
「な、仲良いだなんて、そんな…」
「沖野さん、だったわね?朝田と会話するの大変でしょう。あいつ普段は猫かぶってるけど実は結構性格悪いし」
「え…」
「迷惑かけてたらごめんなさいね。ほんとにいつまでたっても子供みたいな奴だから」
この居心地の悪さは一体なんだろう。
心の中にモヤモヤが広がっていくような感覚に戸惑う。
助けを求めるようにマチの方を見ると、眉間にシワを寄せて面倒くさそうな顔をしていた。
中島さんから笑顔が消えた。
「川瀬、そろそろ席に行こうか」
「そうね。あ、そうだ沖野さん」
「は、はい…」
初対面の私に川瀬さんはどんな印象を抱いたのか。
挑発的な視線に心がざわついた。
そして私の耳元に顔を近付けてきたと思ったら、小さな声で釘をさされた。
「朝田がもし浮気してたら教えてね」
それだけ言い残すと、中島さんに引っ張られて私達の元を去った。