予想外の恋愛



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ーーー例えば植物に置き換えると

私はサボテンのようだった。


水という愛情を受け取らなくても
多少ほったらかされても生きてこられた。


むしろ自分の周りをトゲで固めて
触れられるのを恐れて拒んで。


触れられたと思ったら傷付けて。




天敵だと思っていた人に出会い、自分のトゲに更に磨きがかかったと思っていた。

だけどトゲを鋭くするために削っていると思っていたのに、実は丸く削っていた。


触れられても痛くなくなった。

それは自分でしたことだ。

心の奥底では触れられるのを待っていた。


天敵だと思っていたのにそうじゃなかった。
ずっと側にいてほしい人だった。


その願いは叶わないかもしれないと知ってる。

それでも、いつの間にか失っていたトゲはもう戻ってはこない。
後戻りは出来ない。




なのに。


今まで身を守ってきた鋭さを失ったことで、私はとても弱くなってしまったのかもしれない。










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