予想外の恋愛






「ーーーはい、お待たせしました」

「ありがとう」


次は朝田さんに、すぐに豆を挽きはじめていると、目の前で中島さんがコーヒーを飲んだ。


「あ」


ドキドキしながら感想を待っていると、いつも以上に笑顔が素敵な中島さんと目が合った。


「すごく美味しい。店長が淹れるコーヒーとは少し味は違うけど、こっちも俺は好きだよ」

「あ、ありがとうございます!」

「おい、甘やかすのも程々にしとけよ調子のるから」

「ほんとだって」



素直に嬉しい。

コーヒーの味もよく知らずに、ただ店の雰囲気で始めたこの仕事は、今では何もかもが私にとって魅力的になっていた。

いつの間にか自然と自分でコーヒーを淹れてみたいと思うようになり、もっと美味しくなるように上を目指すようになって、店長を追いかけていた。

その成果が少しでも出て、それを認められることはとても嬉しいことだ。




少し自信が出てきたところで、次は朝田さんのために手順を進めていく。


朝田さんとの思い出は多くはないけれど、とても中身が詰まっている。



初めは私のミスから始まった朝田さんとの関係。あの時の怒った朝田さんは今思い出しても怖い。
だけどそれから少しずつ少しずつ、朝田さんの優しさに触れ、不器用な一面を知り、私の中で大きく膨れ上がった存在にいつの間にか恋をしていた。





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