予想外の恋愛
「…どうでしょうか。ここでの朝田さんが表なのか裏なのか、私には判断がつきかねますが」
「は…」
「すみません、店長が呼んでいるので少し失礼します」
何か言いたげな川瀬さんを残し、席を離れた。
私だって勤務中なのだ。いつまでも話し込んでばかりいる訳にはいかない。
第一、川瀬さんだって客なのだ。一緒にお茶をしに来たわけではない。
…なんて、本当はあの人とこれ以上話したくないだけだ。
話せば話すほど、どちらが朝田さんに近い存在かを思い知らされるようで。
目を背けていることと、向き合うのが怖い。
「ナギサちゃんナギサちゃん」
「店長…」
「あの人知り合い?ごめんね、会話聞こえちゃったから」
「すいません、話し込んでしまって…」
「それは良いよ。見ての通り今は暇な時間帯だしね。それよりナギサちゃんの様子がちょっと変に見えてハラハラしてたんだけど…別に害は無い人?」
「あの人は朝田さんの彼女です」
「………え?えええ?嘘だよね?」
見ているこっちがいっそ清々しいほど店長は驚いていた。
「本当だと思いますよ。というかどうして店長がそんなに驚いてるんですか」
「そりゃ驚くよ!だって朝田さんは…」
そこまで言って店長は口をつぐんだ。
今まで朝田さんにそんな素振りがまったく無かったから信じられないのかもしれないけれど、所詮は店長も私もただのカフェの店員だ。
プライベートなことなんて知らなくて当然といえばそれまで。