予想外の恋愛
「なあにーそのわかりきった質問。すっごく大事にしてもらってるわ」
「…そうですか」
そういうことだ。
もうわかった。
これ以上は、もういい。
「…ご心配なく。あんなに口が悪くて態度もでかくて性格も最悪な人、はっきり言って私のタイプじゃありませんから」
「…え?ちょっと、それ…」
「ではそろそろ失礼します。本日はご来店ありがとうございました」
唖然としている川瀬さんに深く頭を下げて、店内へと戻った。
そこには大好きなコーヒーの香りが店いっぱいに充満していて、緊張していた心がほぐされていく。
「おかえり」
そう言った店長の手のひらが私の頭の上でポンポンと跳ねた。
緊張と一緒に涙腺まで緩んでしまったらしい。
涙が溢れた。
もうぐちゃぐちゃだ。
あんな口が悪くて態度もでかくて性格も最悪な、強烈な存在感のある人、一体どうやったら忘れられるというのだろう。
視界の隅にうつった赤いコーヒーカップは、涙で滲んでぼやけていた。