予想外の恋愛
一つ深呼吸をして店の外に出ると、川瀬さんが立っていた。
「…何か御用でしょうか?」
「ごめんね仕事中なのに。でもすぐ終わるから」
さっき店内で見た時計は夜の8時を指していた。
すっかり外は暗くなっているのに、店の照明に照らされた川瀬さんの顔がはっきりと見える。
その表情からは何を考えているのか読み取ることが出来ない。
「こないだ言ったこと覚えてる?朝田が浮気してたら教えてねって言ったわよね?」
胸がズキっと痛んだ。
聞きたくない。
「どう?あいつここで中島と怪しい会話してない?他の女の話とか…」
「わかりません。あまりお客様の話に聞き耳を立てたりはしないようにしておりますので」
「えー?でもあなた朝田と仲良いのよね?…もしかしてあなたと浮気してたりして」
「…まさか」
「あいつ外面はいいからね。上っ面の笑顔とか嘘の優しさに騙されて、好きになっちゃう女がたまにいるのよ。あなたもそのクチ?」
カチンときた。
こうやって朝田さんの周りの女性を排除しているつもりなのだろうか。
彼女なら彼女らしく、堂々としていればいい。そうやって好きな人と付き合えることをただ幸せに思えばいいのに。
「…川瀬さんは、朝田さんと付き合っているんですよね」
それだけちゃんと確認しておきたかった。
じゃないと私も、諦める覚悟が出来ないから。