予想外の恋愛



その時、携帯が鳴った。

画面に表示された着信の相手を見て驚いた。
今更どんな顔で話せばいいのか。

(…電話だから大丈夫か)


結構な勇気を使って電話をとり、ゆっくりと耳に押し当てた。



「…はい」

「…俺」

「…うん」


朝田さんだ。
声を聞くだけで心が削がれるようだった。


「お前に話がある」

「え、結構です」

「は?」


怖い。何を言われるのか想像出来るから。
それを本人の口から聞いて冷静でいられる自信もないし、祝福なんて出来ない。


「家いるんだろ。降りてこい」

「え、まさか」

「今お前の家の前」


…嘘だと言ってほしい。
この男はいつも唐突だ。
普通家に来るならその前に連絡の一本ぐらい入れるだろう。


「…私には何も話すことはありません」

「おい、ふざけんなよこの野郎」

「ふざけてなんかいません。このあいだの不味いコーヒーのことなら謝りますから。だからもう…」

「いや、あれはマジでどついてやろうかと思った。だけど話したいことはそれじゃない」

「どつ…や、も、ほんと、話すことなんてないんで。またカフェへのご来店楽しみにお待ちしております」

「おい、待ちやがーーー」



そこで一方的に電話を切った。

これ以上会話を続けたら、電話の途中でもきっと私は泣いてしまう。
そんな姿は見せたくない。

この人に負けたくなくて、今まで散々強気な言葉を吐いてきた。
たとえ振られようと、負けた姿は見せたくはない。







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