予想外の恋愛
「私は…」
どう答えようがもう朝田さんには関係ない。
そうやってまるで緊張してるかのような顔で私の言葉を待っているけれど、どうでもいいんでしょう。
「私には…好きな人がいました。でも失恋しました」
「………は?」
「だから、振られたんです。好きな人に」
あなたに、とは言えなかった。
「え、お前…そんな奴がいたのか…?」
「はは、なんですかそれ。私のことどんだけ恋愛出来ない女だと思ってるんですか」
散々好きにならせておいて。
その驚いた表情は私のことを馬鹿にしてるんだろうか。
「聞いてねえぞ」
「え、なに?」
「俺はそんなの聞いてない。知らなかった」
「な、なんでそんなに怒ってるんですか」
眉間にしわを寄せて朝田さんは私を睨みつけた。人ひとり殺しかねないほど怖い。
「……いつからだよ」
「なにがですか」
「だから!いつから好きな奴がいていつ振られたか聞いてんだよ!」
「…っ!」
この人がこんなに声を張り上げるところを初めてみた。
「なんで俺に言わなかった!」
だけどその一言で私も頭にきた。
誰のせいで振られたと思ってるんだ。
というか、気持ちを伝えても振られるとわかっているのに。
「どうしてあんたにそんなこと言わなきゃいけないの!」
玄関のドアを開ける前にしっかり拭ったはずの涙が、また私の頬を流れた。