少女Fの思惑

じゅーに

辺りが暗くなってきたくらいに2班はゴールにたどり着いた。どうにかなってゴールできるとわかっていた私にとってはなんともどうでもいいことだ。
泊まりではないが夕食はそこでバーベキュー。みんなで合掌して網に肉をのせた。
「澤口くん、肉あげる」
「マジで!?やった!」
「岩泉さんもちゃんと食べなよ?」
「うん、でもあんまり肉はいらないから」
あれからなんとなく山田くんとはしゃべってない。話しかけても来ないしまぁいっか、と視線をめぐらせるとお約束通り目があった。
「岩泉さん」
「ん」
「俺のこと下の名前で呼んでよ」
「は?」
「ずるい!俺も呼んで、岩泉さん!てか、岩泉さんも下の名前で呼んでいい?」
「い、いけど…」
「ほんと?じゃあ俺も。いいよね?」
「…はい」
え、なにこの急展開。
3人がわくわくして私が呼ぶのを待っている。山田くんをちらっと見れば初めてしゃべった時のようににかっと笑っていた。
「…みんなの下の名前なんだっけ」
「「「え"?」」」



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