少女Fの思惑

にじゅうに

「い、岩泉さんおはよう…!」
「…おはよ」
周りから見れば異様な光景だろう。
あまり好かれてはいない私に宮森さんは挨拶をしたのだ。クラスみんなの前で。少しどもっていたけど、それでもしてくれた。
びっくりしててきとーに返してしまったけどビックリしているのは私以外にもいるようで、こちらを見てヒソヒソ話している子もいる。
「なになに、宮森さんと仲良くなったの?」
「おはよー、光!」
「おはよ。…うーん」
宮森さんは挨拶をして満足したのかへらっと笑って席に戻っていった。
仲良く…?挨拶したかっただけだろうか。
「岩泉さん」
「あ?…っ!?」
「おはよう」
「おはようゴザイマス」
呼ばれたほうをふりかえると一ノ瀬様がいらっしゃって、めんどくさそうに返事をしてしまったことを後悔した。
しまった、学校1のモテ男にこんな反応とか印象に残るじゃんか。
ったく、2人ともなんなんだ。このクラスで関わりたくねぇ人物No.1とNo.2だぞ?朝から心臓に悪いわ。
「…光、いつのまに人気者になったの?」
「なってねーよ」
席についた一ノ瀬が一瞬こちらを向いて微笑したのが見えてどきっとした。
だってかっこいいんだもん。



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