少女Fの思惑

入学式が終わり、それぞれの教室に向かうなか、転びかけた少女が1人。そしてそれを支えた少ね…イケメンが1人。
…なにこの薔薇であふれたような世界。
言わずもがな少女は桜で、イケメンは一ノ瀬だ。
そしてそれを傍観している少女F、私。
でもこのままずっと見ているのも変だし、私もまわりの流れに合わせて通り過ぎよう。変に関わるとめんどくさそうだし。あのストーリーは端からみているから面白いのであって自分が関わりたいなどという感情はどこにもない。ストーリーが変わっちゃっても困るし。

っく…!
横を通りすぎる時、一ノ瀬のイケメンオーラが眩しくて倒れるかと思ったわ。よく持ちこたえた私。
「どうかした?」
「なんでもねぇよ」
一瞬くらっとしたのを見られていたのか隣の男子が話しかけてきたがいつも通りの口調で返してしまった。
…しまったな、女子高生はもっとかわいらしいか。
ううん、大丈夫だよ、心配してくれてありがとう、的な。
私がそんな言葉…吐き気に襲わせてしまう。私が口に出せるセリフじゃなかったです、ごめんよ、少年。
少年ははじめは驚いたように目を丸くしていたがすぐににかっと笑ってそうか、と前を向いた。
あ、この子かわいいと思った瞬間です。

にしても、さっきの2人はあの状態のまま会話してるみたいだけど、いつまであそこにいるのかな。教室、いきたくないのかな。



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