Bad Voice


「いや、別に」

自分がそんなに怖い顔をしているなんて
思っても見なかった
だけど、表情が変わることはなかった
そんな、余裕がなかったのだ

「んま!いいや!今日放課後ダンス部あるから、第二体育館に集まってね二人共っ!」

拓弥がダンス部があるから
第二体育館へ来いと言った
でも、引っかかることがある

いま、二人共って言ったのか?
そんなことを考えていると

「了解やでっ!すぐ行くわ!放課後やな!」

太陽が俺より先に声に出した

「お前もダンス部に入ったのか?」

俺は、嘘であると願うしかなかった

「うん!せあで!よろしくな!ユーキ!」

太陽の答えにはもう
絶望しか感じなかった

「拓弥やっぱり、おれ……」

俺、やめるわ
と言いたかった

「あー、彼氏いたっけなぁー?」

拓弥のこのセリフにハッとさせられた
忘れていた
たくちゃんネットワークをなめていた
忘れていた
後悔しかなかった

答えなんて決められていた

「はい、いきまーす」
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