契りのかたに君を想ふ
絵美を追いかけて行くと屯所を出ようとしているのが見えた。
土方「待て絵美!!!」
咄嗟に彼女の手首を掴んだがジタバタと暴れ、俺から逃れようとしていた。
絵美「お願い、離して!!!!」
土方「離さねえ。離したら逃げるだろうが」
俺は尚も逃げようとする絵美を逃がさまいと強く抱きしめた。
絵美が落ち着いたのを確認するとそっと腕の中から離した。
暫く気まずい空気が漂う。
が、意を決して重い口を開く。
土方「悪かった…な…」
絵美「いえ、私も取り乱してすいませんでした。危うく局中法度の項目の二つを同時に破るところでした」
話し方からしてまだ不機嫌なのが伺える。
言いたくねえが…俺の我儘で新撰組を潰すわけにゃいかねえ。
覚悟を決めるんだ。
土方「明日馬の用意をしてやる。あと10番隊を警護に着ける」
何でもっと強く伝えられねえんだ俺は!!!
絵美「…………は?」
そら見ろ!!!
絵美も理解してねえじゃねえか!!!!
絵美「もしかして…二条城に行って来いってこと?」
土方「何度も言わせるな!!!そういう事だからな!!!」
絵美は一回しか聞いてねえだろ!!!!
俺は心底自分の口の悪さを呪った。
絵美「ありがとう、土方さん。胡桃沢絵美、行って参ります!!」
だが絵美のその一言と笑顔で俺は小さな幸福感に満たされたのだ。
少しの寂しさとともに。