とろけるジャムの隠し味

「ありがとう、関くん。
でも、なんであたしなの?」


「なんでって、同じ委員会になって、いいなと思って。」



高校に入って初めての委員会。
わからない事が多くて、確かに関祐介と一緒に仕事をする機会は多かった。


でもだからと言って仲が良いかと聞かれたら、頭に疑問符が浮かぶ。



「でもあたし関くんのこと、あまり知らないし、すぐ付き合うのはちょっと… 。だからごめんなさい。」


「じゃあじゃあ!友達からでもいいから!よろしく!」



ひるむ様子もないまま、関くんは制服のポケットからiBhoneを取り出すと、番号を教えてと目を光らせた。


その強い押しに、恵梨は自分の番号を渋々教えると、部活を言い訳に美術室の方へ早々と走っていく。



「えりー!!
あとでLIME送るねー!!」



ブンブン手を振る関くんに、恵梨はなるべく笑顔で手を振る。
…はずだったけれど、それはひどい苦笑いだった。






< 2 / 9 >

この作品をシェア

pagetop