とろけるジャムの隠し味
「ありがとう、関くん。
でも、なんであたしなの?」
「なんでって、同じ委員会になって、いいなと思って。」
高校に入って初めての委員会。
わからない事が多くて、確かに関祐介と一緒に仕事をする機会は多かった。
でもだからと言って仲が良いかと聞かれたら、頭に疑問符が浮かぶ。
「でもあたし関くんのこと、あまり知らないし、すぐ付き合うのはちょっと… 。だからごめんなさい。」
「じゃあじゃあ!友達からでもいいから!よろしく!」
ひるむ様子もないまま、関くんは制服のポケットからiBhoneを取り出すと、番号を教えてと目を光らせた。
その強い押しに、恵梨は自分の番号を渋々教えると、部活を言い訳に美術室の方へ早々と走っていく。
「えりー!!
あとでLIME送るねー!!」
ブンブン手を振る関くんに、恵梨はなるべく笑顔で手を振る。
…はずだったけれど、それはひどい苦笑いだった。