《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★

「ねーねー、美容師のおにいさんさぁ、もしかしてさぁ、一子姉に会いたいけど会えない感じ?」
悪い事を考えている風にしか見えない位にニヤニヤする三津子。


「いや、俺は別に……会いたいわけじゃ」

「何言ってんのよ! 会いたいなら、会えばいいじゃん。ライバルとか気にしないでさ」


「いや、本当に……俺は……」


尻込みする秀馬の背中を押して、店に入る三津子。

「一子姉、お客さんだよ」

店内にいた一子と歩が同時にドアの方を見た。

「え、真田さん」

「秀馬さん、どうしたんすか?」

歩は、秀馬が店に来たことが余程意外だったのかポカンと口を開けている。


「……ちょっと、店に置くものを探しに来ただけだ」
店内を見回す秀馬。


ーーー何故、動揺する必要があるんだ? 何もやましい事は無い。堂々としていればいいんだ。

一子が両手を合わせ、嬉しそうに声を上げた。
「そうだ。真田さん、いいものが入荷したんですよ。オーナーがフランスから買い付けて来たんですよ。見ます?」

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