《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「今日は、どうもありがとうございました」
夕方、歩を駅まで送ってきた一子。
「いーえー、美人姉妹に囲まれて楽しかったなぁ」
言いながら歩が一子に向かい合って立つ。
一子の首に軽く巻いていた紺色のマフラーが風にあおられ肩から落ちてきた。
「あ、直したげるよ」
マフラーを掴んだ歩は、マフラーの柄にふと目を落とした。
「ARMANIのマフラーだね〜。好きなの?ARMANI」
一子がしていたマフラーは、この前、秀馬にもらったものだ。ブランドに疎い一子は、そのマフラーがどこのブランドの製品だとか考えもせずに使っていた。
「あ、えっと、これは」
「秀馬さんもさ、ARMANIのマフラー持ってたなぁ。似てるなぁ、これ」
一子の首に巻いたマフラーの端を掴んでいる歩。
「そう、えっと…」
秀馬にもらったものだと言おうとして、一子は、ふと秀馬が言っていた言葉を思い出していた。
『考えてみれば、こんなの持ってたら歩が気にするだろうなって』
よくわからないが、歩が気にするようなことを自ら言うべきでは無いと一子には思えた。