《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
店の戸締りを確認し、マフラーを巻き直した秀馬は視線を感じて隣にいた歩を見た。
「なんだよ」
「……最近、あのマフラーしてないっすよね?」
「あのマフラー? マフラーなんか沢山あるぞ。どれのことだよ」
駅方面へ歩きながら、巻いていたマフラーの端を握る秀馬。
「紺色のアルマーニっす。あれ、見ないっすよね?」
秀馬は、普段抜けてる所もあるくせに女に関する事とお洒落関係には妙に冴えている歩に驚いていた。
「…そうか? 沢山あるからな。たまたましてないだけだろ。ローテーション的に紺色のアルマーニの番が来てないだけだろ」
我ながら、苦しい言い訳のような気もしたが仕方がない。
「そう……っすかねー、なんか俺あのマフラーと同じやつを誰かがしてたような気がしてるんすよねー。誰だったかなぁ」
「似たようなマフラーなんか沢山あるだろ」
首の付け根に手を当て、関節を鳴らしてみる秀馬。
「一子ちゃん……」
歩が発した言葉に秀馬は思わずギクリとしていた。