《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
どのくらいかわからないが、一子はダッフルコートのポケットに入れておいたスマホの振動で目を覚ました。
ーーーやだ、寝ちゃった。
右に傾いていた体勢を直し、手の甲で口元を拭ってポケットに手を入れたところで、ふと気が付いた。
ーーー私、何かにもたれてたみたい。
恐る恐る右側を見て一子は、甲高い声を上げた。
「さ、真田さん!!」
一子のすぐ隣に秀馬が腕を組んで座っていた。
前を向いていた秀馬が、一子の方へゆっくり顔を向けた。
「どうして、あの……ここに?」
ひたすら驚いている一子。
「それより、なんか鳴ってるぞ」
一子が取り出したものの震えたまま放置しているスマホを顎でしゃくった。
「え、あーーそうでした……」
画面を見ると、不二子からだ。
「あ、不二子?!」
不二子は、午前中に用事があり一子の買い物に付き合えないことを心配していたのだ。
『服買えた?』
「えっと、まだ……」
一子は、秀馬を気にしながら答えた。
『今、どこにいるの? 』
「不二子に言われたビルだけど」
『参ったなぁ〜。あと、パーティーまで5時間くらいしか無いじゃん。用意とか行く時間とか考えてよ』
パーティーまでの時間を逆算して考えた不二子は自分のことみたいに心配しているようだ。
『適当な店員さん捕まえてさ、事情話して選んでもらいなよ』
電話の向こうで不二子は、イラついているようだった。早口でまくし立ててくる。
「そうは言っても金額の問題もあるし」
話している途中で、椅子に置いていたバッグを床に落としてしまう一子。
そのバッグをいち早く秀馬が拾いあげた。
「あ、真田さん、すみません。ありがとうございます」
頭をぺこぺこ下げる一子。
今度は、落とさないようにバッグをひざに乗せた。
『ちょっと……今、真田さんって言った?』
不二子が驚いた声で聞いてきた。