《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
胸元に気をとられていて、女性の顔を見ていなかったから誰かわからなかったのだ。
だが、女性の品のある笑い方。全身から放たれたオーラ。類まれな美貌。
ーーーモデルで女優の…新谷麻耶さんだ。
芸能人に疎い一子でも知っている。フランスで活躍中の新谷麻耶だった。ついでに言えば、写真週刊誌に秀馬と映っていた女性。
麻耶の隣には、ブラックスーツを着た男性がいた。笑顔が優しそうな男性だ。その男性の胸ポケットからチーフを抜き取る麻耶。
「耕三、借りてもいい?」
「もちろん」
一子は男性からチーフを借りて胸元を拭く麻耶を呆気に取られて見ていた。
「本当に申し訳ありません!」
「いーのよ、気にしないで。ドレスがブラックだから目立たないし」
麻耶は、今会場に入ってきたばかりのようだった。その証拠に今までビンゴに夢中だった周りの人たちが、今麻耶の存在に気がついたようで急に遠巻きながら声を上げ始めた。
「新谷麻耶だ。いつ来たの?」
「凄い美人ね」
「この間、うちの社長と雑誌に出たじゃん」
「やっぱり、社長と付き合ってるわけ?」
段々人が集まり、世界的に活躍する有名人を予告なしに見て、それぞれの感想が聞こえてくる。一子は途方にくれていた。
一子が途方にくれる間もビンゴは続けられており、壇上ではビンゴになったらしい男性が高々と両手を上げていた。