《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「あなたが真田さんね! うわー話には聞いてたのよ! でも、やだ! ウケる」
呆気にとられている秀馬をよそに、一子の母は、秀馬の腕をばしばし叩いてケラケラ笑いっぱなしだった。
一子の母は、三津子の言葉遣いを気に入り、よく真似している。でも人前だと正直恥ずかしい。
「母さん!」
恥ずかしくて、一子は小さくなりながら秀馬を見上げた。
「だって、母さんね〜こんなイケメンを間近でみたのって初めてなんだもの。おかしくて」
「み、見世物じゃないから。真田さんをやたらと触ったらダメなんだって」
自分から触るのは抵抗ないが、他人から触られることを苦手とする秀馬だ。
嫌な気持ちにらならないかと心配になって秀馬を触る母の手を掴む一子。
「大丈夫……一子のおかあさんなら俺は平気」
「真田さん……」
一子は、元気そうに退院してきた母と笑顔で話す秀馬を見て胸を熱くした。
ーーー良かった。お互いに気に入ってくれてるみたい。
それから、お腹の空いていた秀馬と一子は久しぶりに母の手料理シチューを食べた。
「美味しいです」
そういったために、秀馬は、三杯もお替わりをさせられていた。
「真田さん、無理しないでね」
小声で言う一子に、秀馬は微笑む。
「ん。大丈夫。おかあさんが腕をふるってくれたシチューがほんと美味いからさ。いくらでも食べられる」
「真田さん……」
コタツとテーブルをくっつけて、三津子、末子、愛、不二子、茂、母と並んで座り、大好きな母の隣に同じくらい大好きな秀馬がいる。
一子は、退院した母を囲み、みんなで食事出来ることが嬉しくて涙が出そうだった。
「うちは女ばかりで、うるさいでしょう? 真田さん、兄弟はいるの?」
一子の母が何の気なしに聞いた。
「いえ、一人っ子です。だから、賑やかなのは羨ましいです」
「そう。ご両親は、お元気?」
「父は高校の時に亡くなりました。僕が小学生の時に両親は離婚して、その後、母とは会ってないので元気かどうかは、わかりません」
淡々と話す秀馬。
「おかあさんとは小学生の頃から、今迄ずっと……会ってないの?」
驚いた顔した一子の母が突っ込んで秀馬に聞いた。
「えぇ、出来の悪い息子だったから会いたいとも思ってないでしょう。……別に僕も会いたいとは思ってませんから」
秀馬の重たい発言に、みんなが喉を詰まらせていた。