《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
店のドアが開いた音に気がつき、居眠りしていた一子は慌てて口の端に垂れてきたよだれをジュルジュル……っとすすりながら、既にたれてしまったよだれを手の甲で拭った。
「いらっしゃ……あれ!」
店に入ってきた人物に、格子柄の紺色のマフラーがとても良く似合っていた。
「真田さん! いらっしゃいませ」
弾むように秀馬に近づく一子。
「ウインドーに飾ってあった品物……変えたんだな」
「あ、はい。…私、この店に来た人には笑顔で帰ってもらいたいんですよね」
「え?」
秀馬が驚いたような表情を見せた。
「それなのに、真田さんがウインドー見て険しい顔してたから……。理由はわかりませんが、そんな顔させてたらお客さんが店に入ってくれるわけがないですもん。だから、変えました。どうですか? カリスマ的に」
「クリスマスっぽくて、いいんじゃないか」
「やった! 嬉しいです! カリスマに褒められて」
万歳して喜ぶ一子。