《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「そんなに喜ぶか? カリスマって言っても美容師のだからな。ショップの装飾とかに関しては素人だ」
「そうですか? やっぱり、センスのある人だからカリスマなんですよ! 真田さんはなんでもセンスありますって。真田さんのお店は綺麗で素敵な雰囲気ありますから」
「褒められてんのか? 俺は」
「はい」
「あんたに?」
秀馬はベージュの革の手袋を外しながら苦笑いした。
「複雑だな。あれだけのざんぎりで、外を歩けるようなあんたに褒められて喜んでいいんだろうか」
「もちろん。真田さんのセンスと腕は世界一です。だって、私、こんなに気に入った髪形にしてもらったのなんか生まれて初めてですもん。ホントに気に入ってますから」
鼻息も荒く豪語する一子を眺めてから、秀馬はテーブルに置いてあった小さい猫の白い置物を手にした。
「これ、この前の犬の置物に似てるな」
白い猫だが、背中に黒いぶちがあった。
「そうですね。確か店長がフランスの同じ所で仕入れたものだったかと」
「ふーん。じゃ、これもらう」
「ありがとうございます。包みますね」
笑顔で猫の置物をプチプチに包み始める一子。
待っている間、秀馬は店の中をゆっくり眺めて歩いていた。そして、やはり出会ってしまった馬蹄にクローバーの乗ったブローチ。秀馬の前で、妖しく光り輝いていた。